久々にエンドロールの余韻を味わった李相日監督「フラガール」

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いや~、いつもならエンドロールが始まると映画館を出るのですが、今回は、久々にエンドロールで余韻を味わう時間がいとおしくなるような、そんな映画でした。
フラダンスって、最初、谷川紀美子(蒼井優)たちが見せられたビデオのように、おへそ出してフラフラ、踊るダンスのこと?しか知りませんでしたが、先生である平山まどか(松雪泰子)が踊ったダンスは、僕のそんなイメージを打ち砕きました。

この物語は、昭和40年代、ここ福島県いわき市の炭鉱町でも時代は石炭から石油へと変わり、閉山が相次いでいた。
そんな町の再生を期して計画されたレジャー施設“常磐ハワイアンセンター”(現・スパリゾートハワイアンズ)誕生にまつわる感動秘話を映画化した作品です。

この映画は、谷川洋二朗(豊川悦司)が思わず「女は強えなあ。」というように、そして、平山まどか(松雪泰子)が町を去る時、炭鉱の女たちをプロのフラガールに成長させることによって自身も人間的に成長した平山まどか(松雪泰子)の事を吉本紀夫(岸部一徳)が、「いい女になったねえ」というように炭鉱の町の男たちの無理解、偏見と戦いながら、炭鉱の町のために立ち上がり、成功した“女たちの物語”である。



フラダンス・シーンのために3ヵ月の猛特訓を積んだという出演者たち自らが披露するラストのフラダンス・シーンは、圧巻でした。

単館でしたが、女性客を中心に沢山のお客さんが入っていました。
物語が山場になると、あちこちから女性たちのすすり泣く声が・・・
終わった時、泣きじゃくっていた人もいました。
僕もベタな、お涙頂戴式の人情劇は嫌いなのですが、この映画はギリギリの線でした。
僕も周りが女性客ばかりだったので、泣かないよう泣かない様にしてました。
そんな感動的な「フラガール」は、まさに“日本映画”そのものです。

<ストーリー>

昭和40年、福島県いわき市の炭鉱町。時代は石炭から石油へと変わり、閉山が相次ぎ、町は先細りの一途をたどっていた。そこで、起死回生のプロジェクトとして豊富な温泉を利用したレジャー施設“常磐ハワイアンセンター”が計画された。

そして、目玉となるフラダンスショーのダンサー募集が地元の少女たちに対して行われた。
早苗は紀美子(蒼井優)を誘って説明会へと向かう。
説明会で見せられたビデオに写るおへそまで写るな衣装で踊る姿に、大半の応募者が逃げ出し、残ったのは紀美子(蒼井優)と早苗の他には初子と小百合(山崎静代)のわずか4人だけだった。




そんな中、元SKD(松竹歌劇団)のダンサー平山まどか(松雪泰子)がフラダンスの教師として東京から招かれる。
しかし、平山まどか(松雪泰子)は、基礎レッスンすらできない紀美子(蒼井優)らに「貴方たちには、一生、掛かっても、フラダンスなんか無理よ!」と言い放ち、匙を投げてしまう・・・

一生懸命、取り組む紀美子(蒼井優)らの姿に打たれて平山まどか(松雪泰子)は、彼女らに「言われた事は文句を言わずにやる、決して口答えをしない、決して泣かない、いつもスマイル」を約束させ本格的な特訓を引き受けさせるのであるが、友人との別れ、身内の死を乗り越えて最後に見せる笑顔は、飛び切りの笑顔だ!

監督:李相日
製作:李鳳宇
   河合洋
   細野義朗
脚本:李相日
   羽原大介
撮影:山本英夫
美術:種田陽平
音楽:ジェイク・シマブクロ
出演:松雪泰子、豊川悦司、蒼井優、熊野小百合、池津祥子、徳永えり、三宅弘城、寺島進、志賀勝、高橋克実、岸部一徳、富司純子

<感想>

いい映画は役者の演技もいい!
紀美子(蒼井優)の兄役・豊川悦司は、上手い役者であるとは思うが、演技がワンパターンで逆にクサく見え仲代達也状態だなあと思っていたのですが、この「フラガール」では東北弁を上手く操り、ホント土地の人になりきっていました。
また、紀美子(蒼井優)の母役の富司純子は、炭鉱で汗まみれになって働き、炭鉱で死んでいった夫を炭鉱の男として誇りに思っており、自分も炭鉱で働き、フラダンスなどにうつつを抜かす紀美子(蒼井優)を厳しく叱り、その結果、紀美子(蒼井優)は家を出て行くのであるが、そんな頑固で古いが、しかし、誇りを持った母親役を見事に演じていた。
しかし、圧巻は松雪泰子でしょう。
鼻っ柱が強く、勝気な役で、ズバズバものを言う、これまでの松雪泰子の役柄も好きでしたが、この「フラガール」は、飛び抜けている。
なにしろ、リストラされた日に偶然、浮かれていた早苗の顔をひどくぶった高橋克実を男湯まで乗り込んで乱闘するのだから・・・

僕が最も感動したところ
友人や先生との別れのシーン(李相日監督自身もベタな感動シーンと言っていたが)も、やはり感動したが、僕が一番、感動したのは、別のところです。
紀美子(蒼井優)が努力のかいあってフラダンスを見事に踊れるようになって一人で踊っているところに、母、谷川千代(富司純子)が友人の小包を届けに、家出をした紀美子(蒼井優)のところにやってくる。
そんな紀美子(蒼井優)の勇姿を母、谷川千代(富司純子)は、黙って見ている。
踊り終わった紀美子(蒼井優)に、「よくやったね。」と言うわけでもない。
しかし、そんな紀美子(蒼井優)の姿を見た母、谷川千代(富司純子)は、温暖装置の工事が滞り、やしの木が枯れてしまうかもしれないという常磐ハワイアンセンターの窮地に、昔、炭鉱で働いていた今は常磐ハワイアンセンターの職員が炭鉱の組合の人たちに土下座して、「ストーブを貸して下さい。」と頼み込む姿を見ていた。
彼らのために、ストーブを一軒一軒、集める姿、炭鉱で働く婦人会の会長である谷川千代(富司純子)が、何故にそんな事をするのかと組合長に詰め寄られて言ったセリフにグッと来ました。

美術について
おそらく炭鉱の町は巨大なオープンセットを組み立てたのだろう。
町が高度成長時代に突入する前の様子を上手く表していた。
家の中の障子の汚れまでも。




トグサ的評価:★★★★☆

新感覚の李相日監督が、何故にこんなベタな映画を撮るのかが分からなかったが、情緒豊な“日本映画”の伝統の感動作をものにしたのは非常に強い!

↓李相日監督の過去作品は下記より↓

公式HP:映画『フラガール』オフィシャルサイト

↓皆さんのお住まい地域での各映画の詳しい上映時間はこちら↓
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久々にエンドロールの余韻を味わった李相日監督「フラガール」” への21件のフィードバック

  1. 松雪泰子

    松雪泰子松雪泰子(まつゆき やすこ、1972年11月28日 – )は、女優。佐賀県鳥栖市出身。佐賀県鳥栖市立田代中学校卒業 佐賀県立鳥栖商業高等学校卒業。スターダストプロモーション所属。O型。人物1998年 ミュージシャンのGAKU(門脇学)

  2. フラガール

     悔しさに、唇を噛んで涙を流した。 嬉しくて、微笑みながら涙をぬぐった。 流れくる涙を止めることもせず、スクリーンに向かって拍手を送った。 「フラガール」は、そんな映画だった。 公式ホームページ ストーリー  goo映画 昭和40年。エネルギーの需要は

  3. 松雪泰子、『子宮の記憶・ここにあなたがいる』の披露舞台挨拶

    松雪泰子主演映画『子宮の記憶・ここにあなたがいる』の完成披露舞台挨拶が行われた。同舞台挨拶で松雪泰子は「嫉妬も、愛の形かな」との意味深長の発言も。映画は2007年1月公開。

  4. フラガール

    よかっぺよ~! いぐね?ひそかに評価の高い「フラガール」をやっと観ることができました。     -Story-昭和40年、炭鉱閉山のピンチに陥った福島県のいわき市。そこで、炭鉱会社は町の活性化のためにレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」(現在「スパリ

  5. 映画「フラガール」を観た!

    福島県いわき市のJR湯本駅前に現れた、丸みを帯びたボンネットバスの話題、このブログでも1年半前に取り上げました。それが常磐交通自動車が、JR湯本駅と「スパリゾートハワイアンズ」の間の5キロ区間で走らせたバスでした。そして、「スパリゾートハワイアンズ」は、か

  6. フラガール

    「父親たちの星条旗 」の試写会を一緒に観に行った友人がこの作品を観て常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)に行きたくなったので一緒に行ってくれる人を探してる、とか。私の周りではかなり評判がいいこの作品。「絶対泣きますよ!」「

  7. フラガール

     観る予定はありませんでしたが、評判がとてもよさそうなので観ることにしました。  舞台は40年前の炭坑の街磐城。斜陽の街で雇用を確保しをなん

  8. 『 フラガール 』

     公式サイト映画 『 フラガール 』 [劇場鑑賞]2006年:日本 【2006年9月23日公開】[上映劇場 ]監 督:李相日 脚 本:李相日 羽原大介[ キャスト ]  松雪泰子 豊川悦司蒼井優 山崎静代 岸部一徳

  9. 映画「フラガール」

    泣けるよ、泣けるよ、と最初からそう思いながら観た、・・そう思いつつも思いの片隅に、わざとらしく感動を押し付けられるのではとの疑念もあったのだが・・ 時は昭和も40年、時代の波に押され風前の灯の常磐炭鉱、大量解雇の嵐が吹き荒れるなか、閉山の穴埋

  10. フラガール ★★★★★

    待望のフラガールを鑑賞しました。石炭から石油の時代へ。さびれていきそうな炭鉱の起死回生の作戦として、福島の田舎に1大リゾート「常磐ハワイアンセンター」を立ち上げる!その目玉が炭鉱の娘達「フラガール」達が演じる「フラダンス」。その努力の姿を描く

  11. 『フラガール』情熱に拍手!

    ダンス教師と少女達の友情と成長を、歓びと癒しのハワイアンミュージックの爽快なサウンドで贈る、ダンスムービー『フラガール』を観てきました。もうねぇ、こんなに感動と興奮したのっていつ以来だろう?

  12. フラガール/感想

    2006年09月23日公開の映画「フラガール」を見ました。泣きましたね~。ベタな泣かせ演出ではありますが、実話を基にしているので素直に感動できます。(狙い過ぎと思った先生と生徒の駅のシーンが実話とのこと。な

  13. 映画『フラガール』

    人生には降りられない舞台がある――公式サイト 2006/09/23公開監督:李相日 脚本: 李相日、羽原大介出演:松雪泰子、豊川悦司、蒼井優、山崎静代   池津祥子、徳永えり、三宅弘城、寺島進、志賀勝、高橋克実、岸部一徳、富司純子《ストーリー

  14. フラガール

    公開一週間でとても評判がいいようなので、「フラガール」を観に行ってきました。評判どおり、とてもいい映画で、見終わったあとの満足感もあり、あたたかい気持ちになれて、泣けて笑えて大満足でした。出演者の啖呵のかっこいいこと。平山まどか(松雪泰子)のぶ

  15. 映画鑑賞記「フラガール」

    鑑賞日:06.10.01 鑑賞場所:シネマ・イクスピアリ16 常磐ハワイアンセンター(現在は、スパリゾートハワイアンズ)の誕生物語。そこには、日本の産業を支えてきた炭鉱の落日を前に、炭鉱の町を「常夏の楽園」に変えようと奮闘する炭鉱娘たちのドラマがあ

  16. フラガール 

    フラガール @ユナイテッドシネマとしまえん 9・30(土) ?監督:李相日音楽:ジェイク・シマブクロ出演:松雪泰子 豊川悦司 蒼井優 山崎静代 岸部一徳 富司純子公式サイトはコチラ 北国に常夏の楽園「常磐ハワイアンセンター」が

  17. 「フラガール」

    間もなく公開される「フラガール」の試写。すばらしい感動作。昭和40年、エネルギー革命により炭坑閉鎖の危機が迫る福島県いわき市。そこでは、北国をハワイに変えようというプロジェクトが持ち上がっていた。その目玉となるフラダンスショーに出演するダンサーを育てる

  18. 真・映画日記『フラガール』

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