[ 映画レビュー ] 園子温監督『愛なき森で叫べ』 園子温監督は、映画的とは何かを知っている。随分、映画に引き込まれた。

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僕は、この映画の予告をTwitterのプロモーションで知り、Netflix に何度か目の入会をした。

予告動画

映画データ

製作国

日本

製作年

2019年

上映時間

151分

<解説>

「愛のむきだし」の鬼才・園子温によるNeflixオリジナル映画。
実在の猟奇殺人事件にインスパイアされて描いたサスペンススリラー。

1995年、東京。愛知県から上京してきた家出少年シンは、若者たちによる自主映画の撮影に参加することになり、知人の妙子と美津子に出演を依頼する。彼女たちは高校時代、憧れのクラスメイトが交通事故死した事件からいまだに逃れられずにいた。世間が銃による連続殺人事件に震撼する中、引きこもりとなっていた美津子のもとに、村田という男から電話がかかってくる。

「10年前に借りた50円を返したい」という村田に不審感を抱く美津子だったが、紳士的な彼に次第にひかれていく。
しかし村田の正体は、冷酷な詐欺師だった。




妙子の姉も村田にだまされていたことから彼の本性を知ったシンたちは、村田を主人公にした映画を撮り始めるが……。

作中には過去の園監督作を彷彿させるシチュエーションや同じ名前の人物が次々と登場。

巧みな話術で人の心を操る詐欺師・村田を「新宿スワンII」の椎名桔平、家出少年シンを「キングダム」の満島真之介、美津子の父を「冷たい熱帯魚」のでんでん、母を元宝塚歌劇団の真飛聖がそれぞれ演じる。

Netflixで2019年10月11日から配信。

愛なき森で叫べ : 作品情報 – 映画.com より。

<スタッフ、キャスト>

監督 園子温
脚本 園子温
エグゼクティブプロデューサー 坂本和隆 後藤太郎

出演

椎名桔平、満島真之介、日南響子、鎌滝えり

愛なき森で叫べ : 作品情報 – 映画.com より。

[映画レビュー]

園子温監督は、映画的とは何かを知っている。随分、映画に引き込まれた。

映画的とは何か、映画作りとは何かをわきまえた園子温監督の作品である。
僕は、この映画の予告をTwitterのプロモーションで知り、Netflix に何度か目の入会をした。

恐らく、順撮りで撮影したのであろう。
冒頭、そういうシーンがではなく、役者の照れやためらいのある演技に、観ていて、こちらが気恥ずかしかくなった。

椎名桔平という役者は、「GONIN」の頃から、単なるトレンディ俳優とは一線を画す、演技の凄みを感じていたのであるが、上手いのである。




主人公の一人がびっこを引く、表現力は上手くないが、突然の雨、ロミオとジュリエットの本を書店で手にするシーン、湖上のボートを真上から俯瞰で撮影されたシーン。
描写が映画的でカメラ映えする。
編集も上手い。

前半、自主映画のような趣があるが、やはり、園子温監督は、映画的とは何かを知っている。

映画内の映画作りの監督が変わっていくシーンは、自然で、ホンは書けるが、演技中もくわえタバコを止められず、クレジットは兎も角、実質、監督が変わった、松田優作とかの名をちらつかせる、ある俳優兼脚本家の映画を彷彿とさせる。

ま、男の同性愛を描いたビスコンティの「ベニスに死す」で流れていたマーラーが、当然、ビスコンティの重厚な描写力とは比べられないようなチープな画面に、堂々と流れていたのは、気恥ずかしかったが。

自殺サークル」に次いで、何故か女子高生である。

どこかで見たような既視感があるようで、初めて見るストーリー展開。
やはり、物語とは、そういうものだ、

また、僕は写真をするが、人物の配置がよく考えられている。
画面が映えるのである。

ただ、最初のグロテスクな殺戮シーンは必要であったが、終盤のグロテスクなシーンは必要なかった。

グロテスクなシーンにより、映画の持つ演劇的な空間が歪んでくる。
また、真犯人は、一人で十分だ。

折角の映画的小道具がありながら、大作感が無いのは、演出もあろうが、キャメラによる画作りなのではなかろうか。
折角の椎名桔平の演技も、スケール感が小さくなってしまっている感がある。

園子温監督には、是非とも、映画的スケールの大きい映画製作にチャレンジして貰いたい。




ハリウッド的なキチッリ作り込まれた映画が好みの映画ファンには、オススメできないが、この映画は、NETFLIX のオリジナル映画であるが、TVドラマではなく、明らかに”映画”である。

ラストは無しだが、随分、映画に引き込まれた。

評価

 

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