[ 映画レビュー ] 冷たい熱帯魚 ー鑑賞前の直感とは大切である。映画は、随分、遠くに行ってしまった。

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冷たい熱帯魚

映画データ

製作国

日本

製作年

2010年

上映時間

146分

<解説>




「愛のむきだし」などで知られる鬼才・園子温監督が、実在するいくつかの猟奇殺人事件にヒントを得て人間の狂気と極限の愛を描くサスペンス。
小さな熱帯魚店を営む社本の家庭では、年頃の娘が若い後妻に反発しており、そのため彼と妻との関係にも亀裂が生じていた。

そんなある日、彼は娘が起こした万引き事件をきっかけに同業者の村田と知り合う。
やがて村田の事業を手伝うことになった社本は、いつしか恐ろしい猟奇殺人事件に巻き込まれていく。

冷たい熱帯魚 : 作品情報 – 映画.com

<スタッフ、キャスト>

監督 園子温
製作 杉原晃史
プロデューサー 千葉善紀 木村俊樹

出演

吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵

冷たい熱帯魚 : 作品情報 – 映画.com

[映画レビュー]

直感とは大切である。

キネマ旬報ベスト10 に入っている作品だったが、何か観る気がしなかった。
観賞前の直感が見事に裏切られる素晴らしい作品もあるが、この作品に関しては、直感通りだった。

21世紀に入ってからのキネマ旬報ベスト10 は、何の当てにもならない。

『殺してみたかった。』、そんな殺人事件が起きている今、こんな殺人を取り上げて、何か意味があるのだろうか?

エンターテイメントにおける殺人で大事なのはカタルシスだ。




一般の人は、日々、ストレスを抱え、色んな事を我慢して生きている。
映画が進むにつれて、観客に、『こんな奴、殺されて当然だ。』と思わせ、時に主人公よりも怒りを感じさせ、主人公が、いくつかの伏線を乗り越え、とうとう殺しに成功する。

そこに、カタルシスが存在する。

どの登場人物にも感情移入出来ない、しみったれた映画だ。

園子温監督は、『自殺サークル』『希望の国』『愛なき森で叫べ : 作品情報 – 映画.com』を観ているが、100点満点ではないが、彼の実験的な映画的表現を、僕は愛す。

だが、この作品は、そんな表現は一切なく、かつての監督が、淡々と撮ったように面白みに欠ける映画だった。

事実と反するからどうのこうのとは言わないが、硬直化した死体を切断するのは並大抵ではなく、肉を切り刻むのなど、設備が無ければ不可能ではないかと、医療関係者の一人として記しておく。

映画内の時刻の表示は、画面が緊迫しているから、時刻表示と共に場面が一挙に転換するから意味がある。

格差社会が定着した中で、経済的も含め、何らか恵まれない人は、フィクションの中ならと色んなものに期待を寄せて、映画館に足を運び、映画を観る。
おじいさんから孫まで喜ぶような映画は、単にディズニーなだけで、映画でも何でもない。
映画とは、現実にあり得るような内容を観客に提示し、映画内だけに存在するような内容を観客に提示し、楽しんで貰うものではなかろうか?




こんな映画が作られ、高く評価される今、映画は、随分、遠いところへ行ってしまったものだ。

評価

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