あなたが今まで観たSF映画の中で最も怖かったエイリアンを描いた作品は?
昔は、トリビアものだった「ブレードランナー 」は、違うねぇー。
「遊星から来た物体X」は、ちょっと我々の安易に想像するエイリアン(地球外生命体)とは違うけど、
一般にエイリアン(地球外生命体)と聞くと私達が想像するのは、
「何か、我々に危害を加えるもの」というイメージが長らく続いていたのですが、それを破ったのが皆も知る「ET 」。
この手の映画は、観ない口なのですが、”大人でも楽しめる、または泣く”との評判を聞かされ続け、公開から大分、経って観ました。
「時間、返せー!!」とか観たことを後悔するほどではなかったですが、やはり僕向けではなかったです。
確かにアンブリンのトレード・マークとなったETが、月へと自転車をこいでいくシーンは、純粋に美しいと思いましたが。
我々が、火星人、宇宙人と聞き想像するのは、ETのような頭がでかくて体がアンバランスに小さいものを、思い浮かべるのは、我々の頭にそうインプットされたステレオタイプ(固定観念化)されているからである。
このステレオタイプというやつは、やっかいなもので、
我々が、全てを深い知識を持って知ることが出来ない以上、避けられないものです。
簡単に言うと、類型化なのですが、例えば、血液型占いを信じる人にとってみれば、A型=几帳面な人、AB型=変人とインプットされているように、我々は、何かを語る時、もしくは想像する時、頭の中でなにがしかの類型化、つまりステレオタイプされたものを持っています。
なるたけ、このステレオタイプから自由なほど、柔軟で若々しい思考が可能なのだが、「言うは易し、行うは難し。」である。
良き文学とは、この我々のステレオタイプされた思考、常識と言い換えてもいい。
その常識と考えている概念、思考を突き破るものでもあると言って良い。
専門的には、それを”異化効果”と呼ぶ。
話を映画に戻そう。
そう、エイリアン(地球外生命体)の話。
ハリウッド映画を中心に、いつも我々は、宇宙から攻めてくる宇宙人と闘っている(笑い)
だが、もう少し深く考えてみよう。
どこかの星に地球外生命体がいるとして、(ある科学的計算では、そういう知的生命体とは、出会えないことになっている。考えてみよう。我々が猿から進化して、高度な文化を持つようになったのは、地球の歴史から、いわんや宇宙の歴史から見ると、数秒にも満たないのである。)
果たして、本当に我々と同じ人型をしているのだろうか。
また、「エイリアン」に出てくるような怪物でもいい。
本当に、我々を敵として捉え、立ち向かってくるのだろうか。
「ET」のような友好的なエイリアン(地球外生命体)は、いわば、これの裏返しに過ぎない。
ここに、アンドレイ・タルコフスキー-というソ連時代の巨匠の「惑星ソラリス 」という映画がある。
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残念ながら、レンタルはないようです。
[youtube]http://youtu.be/v65XxSpNNfs[/youtube]
おそらく、映画.comの<ストーリー>を読んでも分からないであろう。
なので、僕の記憶を頼りにストーリーを要約してみる。
<ストーリーの要約>
どうも海が知的な生命体と見られている惑星に主人公が、派遣される。
だが、その宇宙ステーションにいるはずの科学者らは、皆、狂っていた。
主人公も、やがて死んだはずの妻そっくりの女性の幻覚を見るようになった。
主人公は、その女性の幻覚を本物の妻かも知れないと思いつつ、それが幻覚に過ぎないと知って、その妻にそっくりの女性の幻覚を
ロケットに閉じ込め、宇宙ステーションから射出する。
が、しばらくすると、その妻そっくりの女性の幻影は、再び宇宙ステーションに舞い戻っていたのである。
これらのことは、その惑星の海が関係するのかも知れない。
そうでないもかもしれない。
要は、全く解らないのである。
原作は、ポーランドのスタニスワフ・レムの「ソラリスの陽のもとに (ハヤカワ文庫 SF 237)」(モバイル:ソラリスの陽のもとに (ハヤカワ文庫 SF 237))である。
このSF作家は、大江健三郎氏も注目していたSFにのみに収まりきれない純文学の要素も含まれた、とても深い作品です。
ここで再び、イメージトレーニングしてみましょう。
あなたが、普通の生活で誰かとのコミュニケーションを取るとして、あなたをパニックや恐怖、不安に陥れるのは、どんな相手ですか。
奥さん(笑い)。納得^-^
いや、嫌みな上司、相性の悪い同僚、怖い先輩・・・・。
しかし、そういう人達は、ストレスは掛かりますが、あなたが、心因性の病気でもない限り、パニック状態まで陥れないでしょう。
確かに職場の嫌な上司の存在で、精神を蝕まれることは、まれにあっても、通例、嫌なことがあっても、2,3日後には解消しているでしょう。
何々、奥さんが、ここ1ヶ月、口を聞いてくれない(笑い)
それは、多分、あなたの責任でしょう。
おそらくは一般の人にとっては、相手が、次、どうでるかとか、相手の思考パターンが読めない人と相手するほど、ストレスが掛かるものはないでしょうか。
いじめの原因の一端にも、そういう自分とは異質のものを排除しようとしている力が、働いているはずです。
ここで先ほどのステレオタイプ、つまり類型化が再び顔を現してきます。
ステレオタイプというのは思考の硬直化を招くというマイナス面のみではなく、我々が日常を普段通りに過ごすのに役立っていたりもするのです。
平々凡々とした。
そうした生活の中に時折、劇的なことが起こる非日常が存在するから、生きていけるのです。
「オレンジは、黄色く丸いもの。」
これも立派なステレオタイプです。
海外で生活することの最初の大変さと面白さは、我々が当たり前としている文化・常識が、向こうでは往々にして違っているからです。
もっと、身近な例でいえば、違った環境で育ったもの同士の結婚がそうではないでしょうか。
そう、もう僕が何を言おうとしているか解りましたね。
本当に怖いエイリアン(地球外生命体)とは、容易に敵か味方か単純に判別できず、何を望んでいるかすら解らない、我々のステレオタイプを軽々と超えてしまう存在なのです。
そして、それが描かれているのが「惑星ソラリス」なのです。
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今回は、僕にとっても初めて、映画そのものの魅力に触れず、少し離れたイメージ・トレーニングを使った記事を書きました。
興味を持たれて、何かの機会で観られることもあるやもしれぬので、最後に一言だけ。
タルコフスキー監督の作品全てに言えるのですが、決して難解ではありませんが、全て芸術色の強い映画作品です。
また、間違っても、この「惑星ソラリス」のリメイク作であるジョージ・クルーニー主演の「ソラリス」は観ないように。
この映画は設定だけ借りたいかにもハリウッド映画的な恋愛映画となっています。
タルコフスキー監督作品の「惑星ソラリス」は、あくまでも主人公は、本当に知的生命体のかどうか、人類にコンタクトを望んでいるのかどうかすら定かではない惑星ソラリスの海です。
では、お休みなさい。
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“本来の意味で最も怖い地球外生命体を描いたソ連の巨匠タルコフスキー監督「惑星ソラリス」” への19件のフィードバック
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