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ん~残念、クリント・イーストウッド監督「父親たちの星条旗」

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許されざる者」「ミスティック・リバー」とラストに救いようなさを味合わされ、人間の業の深さを描ききった、蓮実重彦氏に言わせれば、映画の枠を超えようとする“恐ろしい映画”を撮ったクリント・イーストウッド監督の最新作「父親たちの星条旗」を観て来た。

ミリオンダラー・ベイビー」は、僕に言わせれば予定調和から逸脱した作品に過ぎない。
普通のボクシング映画でないとすると、主人公は、悲劇に見舞われ、そうなるとイーストウッドの取る行動も予想できた。

許されざる者」「ミスティック・リバー」は、そうではない。
普通の西部劇、サスペンスドラマと思っていたら、ラストに手ひどく裏切られる。

そんな老境に立ち、人間の奥深さに目覚めたクリント・イーストウッド監督からは、一時も目が離せない。
そんなクリント・イーストウッド監督だから、ある程度、ストーリーを知っており、なおかつ戦争という大きな舞台を描いた作品だから、人間の真髄に迫った映画は無理ではないかと思う僕を、それでも、また手ひどく裏切ってくれるのではないかと期待した。

しかし、そんな僕の期待とは裏腹に、映画は、水準の映画として終わった。
むしろ、エンドロールが終わってから見れる「硫黄島からの手紙」に俄然、期待した。

物語は、あの有名な写真「すり鉢山に星条旗を掲げた兵士」に写った兵士らが硫黄島に上陸して、激しい攻防の末、すり鉢山を占拠し、その後も続く戦いと平行して、「すり鉢山に星条旗を掲げた兵士」の写真によって本国で一躍、有名になり、星条旗を掲げた6人の兵士のうち生き残っていた3人の兵士が、“戦争の英雄”として祭り上げられ、戦費調達のため、戦時国債を国民に買ってもらうキャンペーンのため、アメリカ全土を旅する姿を描く。

父親たちの星条旗、すり鉢山に星条旗を掲げる兵士達

彼らは、一時期、“戦争の英雄”として祭り上げられたが、戦争が終わると人々の興奮も収まり、3人のうちインデアンだった兵士は酒で持ち崩し、行き倒れてしまう。
もう一人の兵士は、就職活動、虚しく、清掃員として一生を終える。
この映画の原作者の父親のみが、葬儀屋を経営し、家族らを真っ当に育てたに過ぎない。

父親たちの星条旗、硫黄島に上陸しようとするアメリカ兵士その父親は、「すり鉢山に星条旗を掲げた兵士」の写真のことも、その後の国債キャンペーンでの活躍のことも一切、息子である原作者に語らなかった。

この「父親たちの星条旗」は、“戦争の英雄など存在しない。戦友のため国のために戦った沢山の兵士らの姿があるだけだ。英雄とは人々によって作られるに過ぎない”ということ描いた作品だ。
それ以上でもそれ以下でもない。




並みの監督なら、それで十分なのだ。
しかし、「許されざる者」「ミスティック・リバー」を撮った監督であるからこそ、それ以上のものを期待するのだ。
もし、クリント・イーストウッド監督が累々と連なる無残な死体を持って戦争の虚しさ、残虐性を描こうとしていたとしたのなら、僕は幻滅だ。

「硫黄島からの手紙」において異文化である渡辺謙らが演じる日本人兵士の精神性に、どれほどクリント・イーストウッド監督と脚本家ポール・ハギスが迫れるのかが楽しみだ。
12月が待ち遠しい。

トグサ的評価:★★★☆☆

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監督:クリント・イーストウッド
製作:スティーヴン・スピルバーグ 、クリント・イーストウッド、ロバート・ロレンツ 原作:ジェームズ・ブラッドリー 『硫黄島の星条旗』(文春文庫刊)/『父親たちの星条旗』(イースト・プレス刊)ロン・パワーズ
脚本:ポール・ハギス、ウィリアム・ブロイルズ・Jr
撮影:トム・スターン
美術:ヘンリー・バムステッド
編集:ジョエル・コックス
音楽:クリント・イーストウッド

 
出演:ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチ、ジェイミー・ベル、バリー・ペッパー、ポール・ウォーカー、ジョン・ベンジャミン・ヒッキー、ジョン・スラッテリー

オフィシャル・サイト:父親たちの星条旗 | 硫黄島からの手紙

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ん~残念、クリント・イーストウッド監督「父親たちの星条旗」” への14件のフィードバック

  1. 『父親たちの星条旗』’06・米

    あらすじアメリカ、ウィスコンシン州で葬儀社を営むひとりの老人。今、彼には最期の時が迫っていた。彼の名は、ジョン・“ドク”・ブラッドリー。彼は1945年、太平洋戦争の激戦地として名高い硫黄島に海軍の衛生兵として出兵していた。その時撮られた1枚の写真によ

  2. 「父親たちの星条旗」

    戦勝国にも悩みはある…12/2 丸ノ内プラゼール にて監督:クリント・イーストウッド原作:ジェームズ・ブラッドリー、ロン・パワーズ脚本:ポール・ハギス、ウィリアム・ブロイルズ・Jr出演:ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・

  3. 死魔さん、こんちゃ^^
    「硫黄島からの手紙」は、アメリカで色々、賞、取って、アカデミー賞にノミネートされるために、急遽、昨年、公開したって言うから評判はいいはずだけどなあ。
    僕も、とても良かった。
    とても外国人が撮った映画と思えないようなセリフがぼんぼん、出てたよ。
    「硫黄島からの手紙」は、昨年の外国映画マイベスト1だね。
    そろそろ、死魔さんが気にしてた「どろろ」の公開だね^^
    1巻だけだけど、原作、読んだ^^

  4. 硫黄島 父親達の星条旗 どうも本国でも評価いまひとつみたいですね
    自分 見てないんで批評できませんが
    硫黄島からの手紙は 評判いいみたいですね
    今 近くで 公開してないんで 京都にでも見に行こうと思ってます
    見たら 感想をいいますね

  5. 周防正行監督最新映画『それでもボクはやっていない』

    それでもボクはやっていないうーん・・・このタイトルもしやと思いきや・・・やはり・・・。近頃新聞、ニュースでも見かける身近な話題!?そう、痴漢に間違えられた主人公は果たしてどうなる??某有名タレントさんや某有名教授の事件も記憶に新しいところ、冤罪も含め

  6. 父親たちの星条旗 (Flags Of Our Fathers)

    監督 クリント・イーストウッド 主演 ライアン・フィリップ 2006年 アメリカ映画 132分 戦争 採点★★★ 「コイツは、白いのも、黒いのも、黄色いのも、茶色いのも大嫌いなんだよ」 『ダーティ・ハリー』でハリーについて語られる言葉だが、イーストウッドその人を顕実

  7. 父親たちの星条旗 FLAGS OF OUR FATHERS

    アダム・ビーチ、ジェイミー・ベル、ジェシー・ブラッドフォードケヴィン・チャップマン、ジョセフ・クロス、パメラ・フィッシャー出演1945年2月 第二次世界大戦は連合国側の勝利が決定的になっていたアメリカは日本の抵抗を収めるため 日本本土空襲を狙う基

  8. 映画:父親たちの星条旗 試写会

    父親たちの星条旗 試写会@中野サンプラザ「”英雄”と呼ばれるのがくるしい」硫黄島での1枚の写真、英雄に祭り上げられた6人の内、生きて本国に帰れたのは3人だった。第二次世界大戦末期、日本はもうぼうぼろの状態だったのですが、アメリカでも戦争に対し

  9. 「父親たちの星条旗」レビュー

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  10. 父親たちの星条旗(評価:☆)

    【監督】クリント・イーストウッド【出演】ライアン・フィリップ/アダム・ビーチ/ジェシー・ブラッドフォード/ジェイミー・ベル/バリー・ペッパー【公開日】2006/10.28【製作】アメリカ【ストーリー

  11. 父親たちの星条旗

    <梅田ブルク7にて>2006年/アメリカ 監督/クリント・イーストウッド後生に語り継がれる戦争映画の傑作。あまりの完成度の高さに、呆然とした。見終わった後、ため息が漏れた。この作品に何の不満もない。あそこがこうだったら、とか、あれはないんじゃな

  12. 真・映画日記(5)『父親たちの星条旗』

    (4から)シネ・アミューズを出て渋谷駅へ。人混みでまいる。なんとかかきわけながらJR山手線で新宿に移動。歌舞伎町のコマ劇場前の映画街へ。『父親たちの星条旗』はミラノ座で上映。スクリーンがでかくていい。『父親たちの星条旗』は悪くはないがC

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